アロエの育毛効果って根拠はあるのか?
アロエは医者知らずと言われるほど、外傷から血圧、胃腸などの調子を整え、更には美容の面でもその効能が期待できるとされており、多くの化粧品などにおいても積極的に使用されています。
アロエって育毛課長の実家の玄関にも鉢植えで育てていましたね。火傷のときなんかはばあちゃんがアロエの葉をさくっと切り出して、これ当てとけ・・・なんていわれたのを思い出します。食卓にもアロエを刻んだものがサラダとして出てきたり、意外とアロエと縁があったなという思い出にふけったり。
最近ではアロエは薬品や化粧品のみならず、シャンプーなどにも配合されているなど、髪に対しても良い働きを見せるとされており、特に薄毛などで悩む方の育毛の場面において、頭皮などを健康な状態に導くといった効果が期待出来ます。
アロエをメインで使った育毛剤も販売されていたりするので、アロエって実は育毛に相当良いのか?と言うことが気になったので色々と調べたことをまとめてみます。
アロエの育毛成分の根拠は?
アロエというと一番にイメージされるのが優れた保湿作用。
ぬるぬるしたアロエの果肉のエキスは、強い日差しでも水分を保持して乾燥に耐えられるように進化したアロエが持つバリア機能。この高い保湿力を頭皮に塗ることで、乾燥から守ってくれるということ。
抜け毛や薄毛が起こる原因の一つに、乾燥による皮膚のバリア機能低下が原因で起きる粃糠性脱毛という症状があります。本来頭皮をはじめ、皮膚は表面の角質層を皮脂と水分で覆っており、外部からの細菌や汚れをガードしています。
しかし、ストレスや栄養不足でバリア機能が低下すると、頭皮の表面は乾燥して外部からの刺激に弱くなります。炎症してかゆみを引き起こしたり、炎症がもとでフケが発生するなど髪の毛の成長を阻害してしまします。
薄毛の原因は頭皮環境だけではありませんが、健康な頭皮で髪が育つ環境と保っておくのは育毛にとっても重要なこと。育毛剤には保湿作用や抗炎症作用の成分が多く配合されるのも、こうした理由によるものなのです。
アロエに含まれるタンニン酸という成分は、皮膚の細胞を活性化させ再生させる効果などがあることから、シャンプーなどで傷ついた頭皮の修復や炎症などを修復させる効果があり、髪の毛が育つ皮膚つくりに効果的であるということ。
これらの点を考えれば優れた保湿力を持つアロエのエキスは肌が弱い人にはうってつけの保湿剤になり、トラブルのない頭皮を維持するのに役立ってくれる効果があると言えます。
アロエの作用はこれだけにとどまりません。他に具体的な育毛効果はあるのか、研究論文などを調べてみました。
アロエに関する育毛研究データ
まずはアロエを論ずるにあたって、具体的な育毛に効果があるというデータは存在しているのか?という部分を調べました。
すると日本の小林製薬と近畿大学の薬学総合研究所の共同研究において、キダチアロエがに含まれるエキスが頭皮の細胞に分子レベルで働きかけ、育毛に効果を発揮することが分かったという発表があります。
使われたのはキダチアロエという種類。これは一般に日本でアロエと認識されているもので、昔から火傷や傷薬などの薬草として使われてきた種類です。
この実験によると、キダチアロエエキスを塗布したことで、以下のような結論を出しています。
(1) 頭皮のⅠ型コラーゲン量が増加することで、毛髪が育ちやすい環境が整う。
(2) 毛周期関連遺伝子の発現が促進することで、乱れた毛周期が正常化する。
(3) 毛髪が成長する環境が整うことで、育毛作用が発揮される。
I型コラーゲンとは、髪の毛の生成に必要なタンパク質であり、薄毛の人はこのI型コラーゲンが少なくなっていることが分かっています。アロエの塗布によってコラーゲン生成が促進され、髪の毛の成長が促進されることが期待されるということ。
成長因子は髪の毛の成長に重要な要素があり、栄養や頭皮環境が揃っていても成長因子による指令がないと髪が育たないことが分かっています。病院で高額な治療費で行われる発毛治療でも、成長因子を注射針で頭皮に注入したりする手法がすでに実用化しているくらい。
キダチアロエのエキスを投与することで、髪の毛の成長に関わる成長因子である「IGF-1、FGF-7、HGF」といった因子の生成が促進されたことで、活動が鈍っていた毛根の細胞が活性化されて髪の毛の成長促進に関与したということです。
髪の毛に限らず、皮膚や血管といった細胞もすべて成長因子が関与して細胞が分裂していることから、アロエで傷が治りやすくなったり火傷の痛みを抑えるという昔から言われてきた効果にも一定の根拠を与えるものではないかと思います。
アロエの「皮」に含まれる成分アロイン
アロエの皮にはアロインという成分も含まれています。
アロインとは聞き馴れない名称の成分ですが、実は日本では医薬品として登録されるほど強力な成分。薬効は胃腸の活動を活発にする作用ですが、過剰摂取でお腹が緩くなる副作用もあるので一般には食されません。ヨーグルトなどにも、皮ではなくゼリー状の果肉しか使われないのはこの強い作用のため。
しかし、AGAの主原因とされる悪性男性ホルモンジヒドロテストステロンの生成を抑制できるという作用も分かってきており(まだ民間研究レベル)、今後の実証が期待される成分でもあります。
DHTと薄毛の関係性は下記の図を参照してほしいですが、男性ホルモンと5αリダクターゼという酵素が結合してできる物質です。
このDHTの影響で髪を作る細胞がダメージを受け、成長途中で抜けてしまったり、抜けた毛根から細い髪しか生えてこなくなるのが薄毛のメカニズム。
アロインには、この5αリダクターゼを抑制する作用があるとされ、DHTの生成を防ぐことができるということ。ホルモンそのものには直接作用しないため、副作用が無く薄毛予防ができることになります。
他にもノコギリヤシやオウゴン、ヒオウギといった植物のエキスにも同等の効果があるとして育毛剤には多く配合されています。それぞれ医薬品ほどの力はないのが欠点ですが、アロインも含めて複数配合されれば相乗的に作用して効果を高められます。
現在はまだアロインを配合した育毛剤はありませんが、今後の研究次第で実用化されてくる可能性があります。
アロエを効果的に配合した育毛剤はある?
ただこれらのアロエ成分は、他の育毛剤ではあまり見ないというか、ほとんど配合されていないということも同時に書いておかなければいけません。
育毛剤の成分の研究機関が、本格的にアロエの育毛に関する効果を検証しているという状況ではないのです。
まだまだアロエを主体としている育毛剤は数が少なく、今後の検証段階であるといえるのかもしれません。本当に有効であれば、様々な育毛剤メーカーがこぞってアロエを取り入れるはずなのですが、最近発売された育毛剤などでも、アロエエキスを配合したという育毛剤はでてきていないというのが事実です。
アロエには優れた育毛効果があることが分かってきていますが、これも実は最近の話ということです。
今までも少数ですがアロエ育毛剤ってあったのですが、どちらかというとマイナーな部類に入り、保湿効果や頭皮環境の保全だけが訴求点でした。実際に今売られている主流の育毛剤の成分を分析してみても、アロエの成分は配合されていないのです。
しかし、こうして研究が進むにつれてアロエの育毛効果が明らかになってくれば、今後は育毛剤の成分として主役級に使われることは期待できます。
先ほど紹介したアロエの最新研究をしている小林製薬からアロエ育毛剤として商品をリニューアルしているので、今後の育毛剤への各社の対応には注意してみていこうと思います。
アロエ自体は食べ物として口にする機会は多いものの、育毛という目的ではどれくらいの期待値があるのかは正直なところ未知数ですね。過剰に育毛効果の期待はせずに、その他の健康目的として取り入れていくことが、回りまわって髪の毛にも良い影響を与えるというくらいの認識でいくことをおすすめします。
アロエ好きの人を落胆させてしまったかも知れないですが、この辺はしっかりと育毛剤の成分というかデータを追っていくと分かってきます。世の中良く根拠のわからないものであふれていますが、そんな中でも信憑性のあるものを選びたいもの。使ったはいいけど、「なんか違う・・・」って後から思うのって悔しいじゃないですか。
育毛剤選びはしっかりと成分をみて、使うべきものを見極められるようにしていきましょう。
アロエエキスには副作用はあるのか?
根拠は希薄ながらも、もしも自宅でアロエを栽培していたり、スーパーなどで手軽に買えるものを使ってみようかなと思う人はいるかもしれません。
使う前には、アロエという植物のことも少し知っておき、副作用などのトラブルがないかどうかも知っておいてからの方がいいですね。
アロエは硬い外皮に覆われた肉厚の葉っぱを持つ植物であり、乾燥や強い日差しに耐えうる耐久力を持った植物です。このため外皮を剥がして、中にある肉の部分を食べたりエキスを塗ったりします。
中身を直接頭皮につけるといった方法もありますが、ここで注意をしておきたいのは元々は刺激が強い成分を含んでいる植物であるため、かぶれなどの症状を起こす人がいます。
肌が弱い人や植物でアレルギーが起きた経験のある人は、安易にそのままのアロエを使わないほうが良いですね。
現在ではスーパーなどで売られているヨーグルトなどの商品にも含まれている身近な存在のアロエですが、最も効率的な摂取方法は、口から食べる事であると言えます。しかし決してそのものをそのまま食べる必要などはなく、飲み物に混ぜて摂取したり、料理などに混ぜて摂取したりといった方法でもその効果には変わりはありません。
食べる分にも適量以上に摂取してしまうとお腹を下すなどといった症状も現れてしまう為、注意が必要であると言えます。何事もほどほどにしましょう。
アロエの育毛効果についてのまとめ
アロエでまず基本的に抑えておきたいのは、乾燥に強い植物のエキスであることに由来する保湿力の高さです。アロエって実際に葉っぱを切ってみると分かるのですが、かなりヌルヌルしたエキスがでてきます。この保湿力を生かして化粧品関係ではアロエを使ったものは多くでていますね。
育毛剤として使われる分にも、この保湿力の高さを訴求しており、秋冬の乾燥時期における頭皮のケア目的や、年中細かなフケに悩まされるなど頭皮の状態がよくない人には頼もしいものになってくれます。
まだまだ研究段階の部分も多いアロエですが、期待されている効果はたくさんあるだけに、今後も育毛剤への活用を注視していきます。