亜鉛の育毛効果と亜鉛だけでは発毛しない理由

「亜鉛を飲むと髪が増える!」
「亜鉛が髪の毛を太くする!」

 

こうした都市伝説染みた話題は様々なところで耳にすると思います。結論を言えば、「亜鉛さえ摂取すれば」という単純な話ではないのが真実。しかし、亜鉛が髪の毛に働きかけることは科学的にも証明されており、育毛活動において欠かすことのできない成分です。育毛を成功させている人は、必ずの両面によるアプローチを怠りません。亜鉛補給と育毛剤、サプリメントなど、効率面を掛けあわせて実行することが近道です。

 

亜鉛はどのように髪の毛に働きかけるの?

亜鉛は髪の毛の主成分であるタンパク質を合成する働きがあります。

 

コラーゲンの合成にも働きかけるため、体内でも皮膚に多く分布する成分です。コラーゲンは肌内部でハリや弾力を形成する成分であるため、頭皮環境の根本的解決にもつながります。亜鉛は人間の身体が細胞分裂する際に必ず必要となるミネラル成分で、成人男性の場合一日12mg摂取することが推奨されています。

 

「亜鉛だけ」を摂っても効果がない

厳密に言うと、「亜鉛が」髪の毛に働きかけるのではなく、「体内のタンパク質と合成した亜鉛が」髪の毛の生成に働きかけます。すなわち、亜鉛だけでなくタンパク質の摂取も心がけないと意味がありません。

 

ちなみに、古くからの友人である現役のアメフト選手に会った際、話の流れで「筋肉・体の仕組み」という話題になりました。そのときこんな話をしていました。

 

「タンパク質の吸収を高めるために、サプリメントによって鉄や亜鉛を摂る。その逆のアプローチはあまり考えない。」

 

つまり、私達とは思考が逆なんです。亜鉛や鉄を摂取するためのタンパク質摂取だと、どうしても栄養バランスに偏りができてしまうためうまく体に摂り入れられないそう。亜鉛もタンパク質も吸収率は加齢によって減少し、特に亜鉛の吸収率は健康状態でも30%に満たないのだとか。その吸収率を高めるのもタンパク質が作用するため、【タンパク質×亜鉛】という組み合わせは特に効果が期待できるそうです。また育毛を成功させる手段としても、亜鉛ベースではなく、タンパク質ベースの摂取を意識することが大切だと教えてくれました。

 

彼は「筋肉を強くする」ための栄養バランスを教えてくれましたが、髪の毛も90%以上がタンパク質で構成されているため理屈としては同じことのようです。

 

プロテインに亜鉛や鉄分が含まれることは少ない

恐らくここまで読んだ方だと、「亜鉛が含まれたプロテインを飲めば効率的なのでは?」と思うかもしれませんが、プロテインに亜鉛が含まれることはほとんどありません。

 

これも同じアメフト選手に聞いた話ですが、そもそもプロテインとは「目的」があって使われるものなので、タンパク質と亜鉛という目的の異なる成分を共存させることは難しいそうです。

 

・筋肉の回復を目的にした【タンパク質】
・体全体の疲労回復を目的にした【亜鉛】

 

素人目から見るとこの違いが全くわかりませんが、筋トレマニアの彼から言わせると全く意味が異なるそうです。「運動後の疲れ、筋肉痛」に効くのがタンパク質、「仕事の疲れ、倦怠感」に効くのが亜鉛といった意味合いのようです。

 

実際に、「SAVASプロ リカバリープロテイン」など、亜鉛を含んだプロテインもあるにはありますが、肝心のタンパク質の含有量が通常の1/3以下だったり、亜鉛と相性の悪いカルシウムや鉄の配合がなかったりします。

 

亜鉛とタンパク質を「一緒に」摂るのはNG

 

亜鉛とタンパク質の相性が良いという理解を誤解している人が非常に多いのですが、これは決して「亜鉛とタンパク質を一緒に摂りましょう」という意味ではありません。

 

亜鉛はタンパク質・カルシウム・鉄・銅と一緒に摂ると吸収が極端に抑制されてしまいます。亜鉛が働きかけるのは体内に既に存在するタンパク質に対してです。従って、効率的な亜鉛・タンパク質摂取を行うには、タンパク質を食事やプロテインで補給した1~2時間後に亜鉛を補給することです。

 

しっかり吸収されたタンパク質に対して、後追いで亜鉛を補給するのです。

 

サプリメントで亜鉛を摂取する際の注意点

サプリメントで亜鉛を毎日摂取している人の場合、一日45mg程度が摂取上限だとされています。アメリカ製のサプリだと亜鉛の含有量が日本のものに比べて多いので、日本のものと同じ感覚で摂取しているとあっという間にオーバーしてしまいます。長期的にオーバーし続けると、頭痛や吐き気だけでなく、腎臓や神経障害症状まで発症することもあるので注意しましょう。

 

ただ、吐き気は適正量を摂取していてももよおすことがあるので、サプリを飲むタイミングとして空腹時は避けたほうが良いでしょう。また、亜鉛以外のミネラルや食物繊維、大豆製品などと一緒に摂取すると栄養素の吸収が阻害されてしまいます。ただでさえ吸収率が悪い亜鉛なので、その特性は正しく理解することが重要です。

 

日常生活では垂れ流し~亜鉛の摂取は非常に難しい

亜鉛は吸収率が低い(健康状態でも30%程度)だけでなく、日常生活の中でも簡単に消費されてしまう栄養素です。

 

例えば、ストレス、激しい運動、睡眠不足、喫煙、アルコールの過剰摂取など、いとも簡単に消費されてしまいます。更に亜鉛は水溶性成分なので、体内での貯蓄が難しく、汗や尿などで常に排外されてしまい、こまめに摂取を心がけるべき成分です。過剰摂取による危険性はたしかにあるものの、日常生活の中での乱れに思い当たる点がある方、育毛を成功に導いていきたい方は、サプリメントなどをフル活用していくことが最も近道です。例えば1粒ずつ朝昼晩の食後1~2時間後に摂取するなど工夫が必要です。

 

成人男性の場合一日12mgの摂取が目安とされていますが、12mgを一気に摂取しても、その時自分の体内が受け入れ体制でなかったらすべて体の外に排出されてしまいます。

 

亜鉛が持つ効果、亜鉛を体の中で活かすための特性、亜鉛の摂取方法、以上を解説してきましたがいかがでしたか?シンプルに「めんどくさい」ですよね。またサプリメントを使用せず純粋な食生活のみで亜鉛を摂取していくのは非常に困難であることもわかります。「亜鉛で髪が伸びた!」という口コミやネットの情報は嘘ではないと思いますが、その結果の背景には非常に地道な取り組みがあることを覚えておいて下さい。

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