薄毛・脱毛症に対する診療ガイドライン2017年度版から見る今後の育毛

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版の解説まとめ

2017ガイドライン

 

育毛剤の成分評価や、脱毛症の治療に関する国内公的権威である「日本皮膚科学会」より、男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年度版が更新されました。

 

診療ガイドラインという名の通り、「薄毛・脱毛症の診療現場においてどのような処方をするべきなのか?」という視点で、医学的根拠の高い治療法(医薬品・医療機器・植毛)などの情報を独自に研究して有用性を高めようと発行されているものです。さかのぼれば2010年の発表以降7年越しの発表となります。

 

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版原本はこちら

 

ガイドラインPDFを見てみると、ここ数年で注目されるようになった医薬品成分や施術に関しての記載が中心であり、市販の一般的な育毛剤に対して言及されたものはありません。あくまでも医療現場、クリニックなどに向けての指標であるため解説も小難しいものですが、公的機関が中立な立場でお金をかけて検証したデータであり、育毛を志す人にとっては頭に入れておきたい情報でもあります。

 

新たに発行された薄毛治療方法のガイドラインから今後の育毛についてを思案するために、要点を詳しくまとめてみることにしました。

 

検証された14項目の育毛成分と治療法とその有用性

2017ガイドライン

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版より引用

 

評価されている項目が14あり、それぞれにA~Dまでの推奨度が示されています。

 

A・・・行うように強く勧める
B・・・行うように勧める
C1・・・行っても良い
C2・・・行わないほうが良い
D・・・行うべきではない

 

最もエビデンスがあり、臨床試験においても実績が示されたものにA判定が付き、有用性への疑問や副作用などの懸念が強いものはC2もしくはDという判定がでています。

 

まずはここを見ると、推奨度Aを獲得できているのは以下のみ。

 

男性
フィナステリド内服(プロペシア錠剤、フィンペシアなど同薬ジェネリックの錠剤)
デュタステリド内服(ザガーロ、アボルブ、アボダートなど同薬配合剤)
ミノキシジル外用(リアップなどのミノキシジルを頭皮に塗るタイプ)

 

女性
ミノキシジル外用(リアップリジェンヌなど頭皮に塗るタイプ)

 

この評価は2010年度から変わらず、男性用でデュタステリドが追加されたのみ。AGA治療クリニックで処方してくれる医院も増えており、2018年度以降より注目されてくると考えられます。

 

病院で薄毛治療をするときには、医師の管理の下で副作用の経過を見ながらこれらA判定された治療を進めていくことが最も信頼できるとしているわけです。
AGAクリニック治療の詳しい解説と育毛剤との違いを比較

 

2010年度版のガイドラインと比較して変わった部分

2017年度版のガイドラインにおいて、追加されたり、評価項目から外れたものもあるため、それらの評価についても見ていきます。参考:2010年度版のガイドラインPDF

 

デュタステリドの有用性がAとして追加された

推奨度:A(男性型脱毛症),D(女性型脱毛症)女性は使用禁止

 

こちらはAGAの治療薬として、フィナステリドを上回る効果として注目されている医薬品成分です。

 

医学的にわたっている男性の薄毛のメカニズムに対して、国際臨床試験37)で,デュタステリド 0.5 mg/日とフィナステリド1 mg/日を用いた,917名の男性被験者を対象とした観察期間 6 カ月のランダム化比較試験において,全毛髪数と毛直径の増加についてはデュタステリドの方が優れた効果を示したとあります。

 

ただし、20歳以下の安全性は確認が取れていないことや、全体的な被験者データはフィナステリドに及ばないことから、使う場合には医師の指導観察の下で処方を受けるべき育毛剤です。

 

セファランチン外用が除外・・・有用性は低いと判断か

まずは一般の医薬部外品育毛剤にも使われることがあったセファランチンの項目が無くなりました。もともとの推奨値もC2(行わないほうが良い)だったものですが、今回は掲載すら削除。

 

セファランチンはツヅラフジという植物エキスで、頭皮の血行促進という作用で有効成分に使われています。しかし、この成分単体での検証例が少なく、日本皮膚科学会での臨床試験でも有益な報告がなかったことで評価すべきではないとされたと思われます。

 

あえてこの成分を主として配合した育毛剤などは有用性が大きく下がったと見て買わないほうがよいでしょう。

 

アデノシンが再評価されて有用性が高まっている点

アデノシン:B(男性型脱毛症),C1(女性型脱毛症)

 

今後期待してるのが、アデノシンの評価が高まっている点。アデノシンは大手化粧品メーカーの資生堂も研究を続けている成分で、アデノゲンという育毛剤が販売されています。

 

こちらは2010年度の評価でC1(使っても良い)にとどまっていましたが、今回B(行うように勧める)になっています。臨床試験では以下のように報告されています。

 

男性型脱毛症に関して,0.75%アデノシン配合ローションを用いた,101 名の男性被験者を対象とした観察期間 6 カ月間のランダム化比較試験において,毛髪径・軟毛率・太毛率の中等度改善以上の改善率は,アデノシン配合ローション群は51名中41名(80.4%),対照群は 50 名中 16 名(32.0%)であった

 

さらに読み進めてみると、ミノキシジル5%外用薬を使った被験者の比較で、太毛率に違いはなく同等の有用性が確認されたともあります。これなかなかすごいことで、リアップX5と同等の評価を得たともいえるもの。ミノキシジルで副作用が出るような人でも使える育毛剤の選択肢が増えたともとらえられます。

 

副作用が少ないとなると女性への有用性も期待できますが、こちらはC1(使っても良い)にとどまる。ただし、あくまで皮膚科学会の臨床試験で被験者数が少なかったことを理由にしており、有用性自体は否定していません。今後の研究が進み次第、女性への評価も高まることが期待できるため要注目と言える成分の一つと見ています。

 

LED及びレーザーの頭皮照射が意外にも推奨されている?

男女ともに推奨度:B 使うことを勧めるとされたのが、レーザーの照射に関する有用性。

 

男性型脱毛症に関して,655 nm 低出力レーザー・(週 3 回照射)を用いた,110 名の男性被験者を対象とした観察期間 26 週間のランダム化試験において73),低出力レーザー照射群では照射前に比較して毛髪数は 19.8 本/cm2 増加し,コントロール群(対象赤色光源)では 7.6 本/cm2 減少した.

 

女性型脱毛症に関して,9-beamレーザー照射装置(655 nm)と 12-beam レーザー照射装置(6beam635nm,6beam-655 nm)(週 3 回照射)を用いた,女性122名の被験者を対象とした観察期間26週間のランダム化試験において75),成長期毛の数は,女性において 9-beam レーザー照射群は 20.2 本/cm2(コントロール群 2.8 本/cm2),12-beam レーザー照射群は 20.6 本/cm2(コントロール群 3.0 本/cm2)と有意に増加していた.

 

正直私自身はこの手のメカニズムに関して懐疑的で手を出していませんでした。しかし、公的見解で有用性が示されるとなれば俄然興味が出てきますね。

 

ただ、個人で使えるレーザー機器の有用性には疑問が残ります。ここで示されるのは病院に導入されているようなレーザーのことであり、医療機関向けのガイドラインであることを忘れないように。個人でも手にできるような低価格商品に同等の効果が見込めるとは考えにくいからです。

 

ガイドラインに記載された臨床データでは、レーザー出力の周波数なども記載されていますが、機器の銘柄などは分かりません。この手の見解を利用した商品が今後増えてくると思われますが、安易に飛びつかないように、情報を見極めて使うようにしていきたいです。

 

育毛課長でも今後育毛レーザー機器に関しては情報を調べていきたいと思います。

 

意外?成長因子導入及び細胞移植療法がC2判定

成長因子などを直接頭皮に注入する治療法(ハーグ療法)などがC2(行わないほうが良い)と判定。

 

こちらは世界でも研究されており、成長因子の働きを促進する成分なども盛んに開発されています。育毛剤の新成分として一般の育毛剤にも浸透してきていますが、使わないほうが良いとはどういうことなのか?

 

こちらはよく読んでみれば、効果に関しては言及されていません。有用性がどうこうよりも、病院での「施術」というケースにおいて専用の機器が必要で処方できる場所が少なく、効果はもとより安全性などのデータが不十分であるというのが評価の理由です。

 

日本皮膚科学会においても臨床試験を行ったデータが記載されていないため、今後の検証次第で推奨度が向上する可能性はあるということ。個人的にはもう一歩踏み込んでほしかったですが、次回のガイドラインに期待といったところでしょう。

 

ミノキシジルの内服は色々なブログで有用とされながらもD判定

飲むミノキシジルとしてミノタブなどとして使われるタイプは、使うべきではないDとして判定されています。

 

飲むミノキシジルに関しては副作用が非常に多くあり、もともと育毛用ではなく降圧剤(血圧の薬)として開発されたもの。内服でより効果が高まるとされますが、全身に作用するために影響が大きい。

 

今回のガイドラインでも、日本国内においてミノキシジルの内服療法は利益と危険性が十分に検証されていないため、男性型脱毛症・女性型脱毛症ともに行わないよう強く勧められるとされています。

 

一般の育毛剤に関する価値はどう見るべきか?

このように従来の見解通りAGAクリニックなどで処方される内服薬は依然として高いエビデンスがある一方で、新たな育毛方法の可能性を感じさせるものも加わった新見解を見てきました。

 

このガイドラインは医療機関での治療指針でもあるため、市販の一般医薬部外品育毛剤に関しては言及されていません。もっと細かな成分の評価が分かれば、普段よく目にする育毛剤選びの指標も分かりやすくなるのですが、現状は臨床試験の手間などから難しいのでしょう。

 

こうした結果を見て思うことは、きちんと臨床試験を行ってデータを取っているものは有用性が判断しやすいということ。ガイドラインと言いつつ、すべての見解において公平な被験者を立てた試験のデータをもとに評価を下しているからです。

 

医薬品が中心のデータになっていますが、立地や金額の問題で市販の育毛剤で治療をしていく際も、きちんと販売元で使用者のデータをわかりやすく示しているかどうかを見て使うようにするべきかなと考えています。

 

育毛に関しては育毛剤以外にも選択肢がたくさんあるため、得られる情報はしっかり目を通して自分にとって必要な方法を自分の目で判断していきましょう。


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